
2025.06.20
AI時代に「なくならない仕事」──データセンター建設ラッシュで高まる施工管理の社会的価値
近年、AI(人工知能)の急速な進化により、さまざまな業界で「人員削減」や「仕事の自動化」が進んでいます。実際に、ニュースではAIに取って代わられる職種や、先行き不安な将来像がたびたび報じられ、「自分のキャリアはこのままで大丈夫だろうか」と悩む若い世代が増えています。
一方で、AIやIoTなどのデジタル技術が社会に浸透すればするほど、そのインフラを支える「建設業界」の重要性はますます高まっています。特に、AIが膨大な電力を必要とすることから、国内外でデータセンターの建設ラッシュが起きており、この流れは今後も拡大していく見通しです。現場をまとめあげる「施工管理」という仕事は、AIでは代替しにくい専門性と、社会インフラを支える大きなやりがいを兼ね備えており、まさに“なくならない仕事”の代表格といえるでしょう。
本記事では、AI時代における人員削減の波の中で、なぜ建設業界の施工管理職が社会に必要とされ続け、今後ますます社会貢献性の高い仕事になっていくのか、最新動向とあわせて徹底解説します。
AI時代の人員削減が進む中、建設業界に起きている変化
近年、AI(人工知能)やロボティクス、RPA(業務自動化)などの技術が多くの業界で急速に導入されています。その結果、「人員削減」や「自動化による職種消失」が現実のものとなり、ニュースでも「AIで奪われる仕事」などの特集が組まれるようになりました。特に事務職や単純作業、流れ作業を中心に、今後10年で数百万人規模の雇用が減少するといわれています。
こうした時代の中、建設業界も確かにデジタル技術の導入が進んでいます。設計図面の自動生成やドローンによる現場調査、3DスキャナーやBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)といった最新ツールの活用も一般化しつつあります。しかし、その一方で「現場での管理・調整・リーダーシップ」という人間ならではの役割は、AIや機械では代替しきれません。
施工管理職は、工事の進捗・安全・品質・コストをリアルタイムで把握し、現場の人や資材、機械を動かす“指揮者”のような存在です。この独自の専門性と「人が介在するからこそ生まれる現場力」は、他業界がAIに置き換えられる流れの中でも、建設業界で変わらず求められ続けています。
AIの発展が生み出すデータセンター建設需要の拡大
AIが世の中に普及すればするほど、その裏側で膨大な計算やデータ処理を担う「データセンター」が必要不可欠になります。生成AIや大規模言語モデル(LLM)、IoT(モノのインターネット)といったテクノロジーは、今までになく大量の電力とデータ通信を必要とし、そのインフラを支えるためにデータセンター建設のラッシュが国内外で起きています。
例えば、2024年に約50兆円と推計される世界のデータセンター市場は、2034年には約1兆ドル規模まで拡大すると言われています(カナダ・プレシデンス・リサーチ調べ)。この成長を背景に、日本国内だけでなく欧州やアジア、北米など世界各地で新規データセンター建設プロジェクトが相次いでいます。とりわけAIの進化が“社会インフラ”のあり方を変えつつある今、建設業界の中でも施工管理技術者の需要は急激に高まっています。
データセンターの建設には、超高精度な空調・電源設備やセキュリティ、安定的な電力供給システムが欠かせません。これらの施設をスケジュール通り、安全かつ高品質に完成させるためには、現場を総合的にマネジメントできる施工管理のプロフェッショナルが不可欠なのです。
「ワット・ビット連携」構想と再生可能エネルギー建設の最前線
急拡大するデータセンター需要とともに、もう一つ大きなテーマとなっているのが「脱炭素」と「再生可能エネルギー」です。AIやデータセンターは大量の電力を消費するため、いかにクリーンなエネルギーで運用するかが、世界的な課題となっています。
そこで今、注目されているのが「ワット・ビット連携」構想です。これは、発電所(ワット)とデータセンター(ビット)を一体的に建設・運用することで、エネルギー供給とデジタルインフラを効率的に組み合わせるという先進的な取り組みです。日本企業もこの分野で世界をリードしており、総務省や経済産業省の支援のもと、NTTデータや大手ゼネコン、商社がコンソーシアムを組み、海外での実証プロジェクトも進行中です。
再生可能エネルギー発電所(太陽光・地熱・風力など)と最新鋭のデータセンターをセットで建設することで、脱炭素とインフラ整備の両立が可能になります。この大規模かつ最先端の建設現場で、施工管理技術者の存在感はますます大きくなっていくといえるでしょう。
今後も伸びる「施工管理」職の社会的価値と将来性
AI時代にあっても、現場を率いる施工管理の仕事はこれからの社会にとって必要不可欠なものです。
データセンターや再生可能エネルギー関連施設の建設は、「ただ建てる」だけではなく、多様な技術や業種を横断的にまとめ上げる調整力、突発的なトラブルや安全リスクを即時に判断・対応する能力が求められます。
現場で人と人、企業と企業、国と国をつなぐ――。それが施工管理の仕事の本質です。たとえAIが設計や材料の発注を自動化できても、現場で「人と人」をまとめ、臨機応変に物事を動かす力は、今後もAIでは代替できない強みです。
また、データセンター建設は、エネルギーやIT、通信インフラと密接に関わるため、社会貢献度の高いプロジェクトに携われることも大きな魅力です。自分の仕事が“世の中を支えている”という実感が得やすく、今後も安定してニーズが続く分野と言えるでしょう。
将来を見据えたキャリア選択――施工管理という道
「将来に不安を感じている」「今の職場がブラックで限界」「フリーターや短期離職から抜け出せない」――そんな悩みを抱える若い世代こそ、社会インフラを支える建設業界、特に施工管理という選択肢を考えてみてほしいと思います。
施工管理の仕事は、未経験からでもチャレンジできる現場が数多くあります。現場を経験しながら、着実にスキルや資格を身につけ、成長できる環境が整っています。何より、データセンター建設のような最先端プロジェクトに携われる機会も増えており、「社会の進化を自分の手で支えている」という誇りを持てる仕事です。
今、建設業界では多くの若い力が求められています。
将来に迷いがある方も、まずは一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
まとめ
AIによる人員削減が叫ばれる時代にあっても、建設業界、特にデータセンターをはじめとする社会インフラの整備には、現場をまとめる施工管理職の存在が欠かせません。デジタル化・脱炭素の潮流の中で、施工管理の仕事は今まで以上に社会的な意義と安定性、そしてやりがいを増しています。
もし、今の働き方や将来のキャリアに不安を感じているなら、社会の根幹を支え、未来を築く「施工管理」という選択肢を考えてみませんか?
一人ひとりのチャレンジが、社会の進化と安心につながっていく――。
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参考
■総務省・経済産業省「データセンター×再生エネ一体整備・デジタルインフラ整備に関する政策資料」
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/conference/digital_infrastructure.html?utm_source=chatgpt.com
■内閣官房「データセンター等のデジタルインフラ整備に関する報告資料」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/gx_jikkou_kaigi/senmonka_wg/dai8/siryou3.pdf?utm_source=chatgpt.com
■国土交通省「建設業の担い手確保・育成政策」
https://www.mlit.go.jp/common/001130688.pdf?utm_source=chatgpt.com
■建設業振興基金「施工管理技士の資格・制度」
https://www.fcip-shiken.jp/?utm_source=chatgpt.com
■厚生労働省「労働政策審議会労働政策基本部会 報告書 ~働く人がAI等の新技術を主体的に活かし、豊かな将来を実現するために~」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05463.html?utm_source=chatgpt.com
■日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO89458220Y5A610C2EP0000/