
2025.06.27
“好き嫌い”から始める新しい転職の軸――企業も個人も見直すべき時代の到来
転職やキャリアに悩んでいる20代の方へ――。
ブラック企業で疲弊したり、フリーター生活が長引いたり、何度も短期離職を繰り返して「自分に向いている仕事なんてあるのだろうか」と不安を感じていませんか?
近年、若者の早期離職が増加し、「働く意味」や「キャリアの軸」そのものが揺らいでいます。一方で企業側も、採用競争が激化する中で過剰なアピールに走り、入社後のミスマッチが目立つようになりました。そんな時代背景の中、一橋大学大学院・楠木建教授が提唱する「“好き嫌い”を基準にした採用や転職の考え方」が注目を集めています。
これからの時代は、“スキル”や“待遇”だけでなく、“自分の好きなこと・得意なこと”を見つめ直し、企業と個人が本質的なマッチングを目指すフェーズに入っています。今回は「転職の軸を改めて見直す」ための新しい考え方と、企業側も採用の軸を見直すべき理由について解説します。
転職の軸が揺らぐ時代――なぜ見直しが必要なのか
かつての日本社会では「一度入社した会社に長く勤め上げること」が当たり前とされていました。いわゆる「終身雇用」や「年功序列」が広く根付いていたため、転職という選択肢自体が今ほど身近ではなかったのです。しかし今、20代・30代の若手を中心に、数年で転職を考える人や、早期離職を選ぶ人が急増しています。
背景には、働き方やキャリア観の多様化があります。ブラック企業で心身をすり減らしたり、フリーター生活が長引いてしまったり、あるいは「本当に自分に合う仕事が見つからない」という理由で短期離職を繰り返す――こうした悩みを抱える若者が増えました。
また、企業側も新卒採用・中途採用ともに「人手不足」や「即戦力重視」の風潮が強まる一方で、採用時に過剰なアピールをするケースが目立つようになりました。「ここに入れば成長できる」「活躍できる環境がある」と期待を膨らませて入社したのに、現実とのギャップに苦しみ、早期離職へ…というミスマッチが増えているのです。
こうした変化の中で、「転職の軸」はこれまで以上に揺らいでいます。スキルや給与、安定性など従来の基準だけでは、自分らしいキャリアを築くことが難しい時代に突入したと言えるでしょう。
“好き嫌い”を採用・転職基準にする発想とは
これまでの日本社会では「学歴」や「スキル」、「業務経験」といった“良し悪し”による評価が主流でした。しかし、一橋大学大学院・楠木建教授が提唱する「“好き嫌い”基準の採用・転職」は、この常識を大きく揺るがせています。
「好き嫌い」とは、端的に言えば自分が本当に心地よいと感じる価値観や、自然と惹かれる仕事や環境のことです。例えば「人と話すのが好き」「細かい作業が苦にならない」「何かを整理整頓するのが得意」など、必ずしもスキルや資格に直結しない部分も含まれます。
従来は「できる・できない」で人を評価し、「英語ができるか」「資格を持っているか」といった基準が重視されていました。しかし、実際には「英語が好き」「整理整頓が好き」といった**“好き嫌い”が、その人の生産性や働くモチベーションに大きく影響している**ことが分かってきました。
企業側も「自社のカルチャーに合うか」「この人はどんな仕事が好きなのか」という視点でマッチングを行うことで、入社後のミスマッチや早期離職を防ぐことができます。これからの転職・採用は、“好き嫌い”という新しい軸を加えることで、より本質的なマッチングが可能になるのです。
ミスマッチ転職の本質――インセンティブvsドライブ
現代の採用現場や転職活動では、「インセンティブ(外発的動機付け)」ばかりが重視されがちです。たとえば「初任給アップ」「福利厚生充実」「スキルが活かせる環境」といった、外部から与えられるメリットや報酬です。確かにこうした条件は転職の大きな動機になりますが、「本当に自分がやりたいこと」や「長く続けたい仕事」を見極めるには十分とは言えません。
一方、「ドライブ(内発的動機)」とは、“好き”だから頑張れる、自然に続けられる――そんな内側から湧き上がるエネルギーのことです。人は自分の“好き”に従って仕事をしている時、努力が苦痛ではなく「夢中」になることができます。これこそが、長期的に高い成果を生み出す原動力です。
「初任給が上がったから」「この資格があるから」というインセンティブ型の理由だけで仕事を選ぶと、慣れてしまえば当たり前になり、やがてやりがいを失ってしまいます。逆に、「自分の“好き”を活かせる仕事」「やっていて楽しいと感じる職場」を選ぶことで、結果的にパフォーマンスが高まり、キャリアとしても成長しやすくなるのです。
企業は“好き嫌い”でどう採用を変えるべきか
企業にとっても、“好き嫌い”という軸は今や無視できないテーマです。従来のような「スキル・経験至上主義」や「採用人数の達成」だけを重視する姿勢では、真の意味で自社に合う人材を見つけることが難しくなっています。
これからは「自社のカラーに合う人」を採用し、社風や価値観のミスマッチを避けることが大切です。例えば、面接で「何が得意ですか?」だけでなく、「どんな仕事が好きですか?」「これまでで一番楽しかった仕事は?」といった質問を増やすことで、応募者の内面をより深く知ることができます。
また、配属やキャリア開発の場面でも、「この人はどんな業務にやりがいを感じるのか?」という視点で考えることで、社員一人ひとりのパフォーマンス最大化につながります。
企業が“良し悪し”の尺度だけでなく、“好き嫌い”の傾向を見極めて採用・人材投資を進めることで、離職率の低下や組織の活性化も期待できます。
転職活動の新常識――自分の“好き”を言語化する方法
これから転職活動を考えている方にとって、「自分の好きなこと・得意なこと」を言語化することは、納得感のあるキャリア選びの第一歩です。
まずは「どんな作業をしている時に時間を忘れるか」「過去に一番やりがいを感じた仕事は何か」を振り返ってみましょう。友人や同僚から「これが得意だよね」と言われたこともヒントになります。
加えて、「やりたくないこと」「苦手なこと」を明確にするのも大切です。“好き嫌い”は両面から考えることで、自分の価値観が浮き彫りになってきます。
企業選びでは、「企業の理念や社風が自分の価値観と合っているか」「その会社の仕事を楽しめそうか」といった“感覚”も大切にしましょう。求人票に書かれた条件だけでなく、社員インタビューや口コミ、実際の雰囲気などもチェックポイントです。
特に建設業界では、現場ごとに求められるスキルや働き方が大きく異なるため、自分の“好き”を活かせる職場を選ぶことが、長期的なキャリア形成につながります。「ものづくりが好き」「チームで動く仕事が好き」など、あなたらしい“好き”をぜひ発見してください。
まとめ
いかがでしたか?
転職市場の流動化が進み、キャリアの選択肢が広がる今こそ、“好き嫌い”を基準にした自己分析や企業選びがより重要になっています。「いい会社」「安定した待遇」だけを求める時代は終わり、自分の内側から湧き出る“ドライブ”――好きなこと、楽しいこと、やりがいを感じる仕事――に正直になることが、長期的なキャリア形成への第一歩です。
また、企業も「目標の採用人数」や「スキル偏重」から脱却し、自社のカラーや価値観に合う人材を見極める姿勢が求められています。
「自分には何が向いているのかわからない」「今のままでいいのか不安」と感じている方は、ぜひ一度、自分自身の“好き嫌い”を言語化し、転職やキャリアの軸を再定義してみましょう。
そして、建設業界をはじめ幅広い業界で活躍したい方は、エンジニア株式会社(https://e-ngineer.co.jp/)への応募を検討してみませんか?
自分らしい働き方と成長の機会をつかむ第一歩を、ここから踏み出してみてください。
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参考
■厚生労働省「令和6年版 労働経済の分析」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43038.html
■経済産業省「人的資本経営 ~人材の価値を最大限に引き出す~」
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinteki_shihon/index.html
■厚生労働省「キャリア形成支援」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/shokugyounouryoku/career_formation/index.html
■日本経済新聞 「楠木建氏 採用は好き嫌いで判断せよ 高い初任給では不十分」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC180980Y5A610C2000000/