COLUMN コラム

2025.07.03

建設DX最前線:未経験やSES経験から“プロフェッショナル”へ――急拡大する建設業界の未来とキャリアの可能性

「気がつけばブラック企業で疲弊している」「フリーターやSESで働いているけど、このままでいいのか不安」。そんなモヤモヤを抱える20代に、今、建設業界が意外なほど“熱いフィールド”になりつつあるのをご存知でしょうか?
今や建設業界は、金属3Dプリンターや自動化など先端技術の導入によって、DX(デジタルトランスフォーメーション)が加速度的に進行中。未経験からでも、ITや現場経験を武器に新しいキャリアを切り拓く人が増えています。本記事では、注目の建設DX最前線と、SES出身・未経験者がプロフェッショナルとして輝く可能性に迫ります。

建設業界のDXが加速する理由とは?

建設業界といえば、「昔ながらの職人仕事」「3K(きつい・汚い・危険)」といったイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし近年、その常識が大きく塗り替えられようとしています。最大の理由は、デジタル技術の急速な進化と導入です。

金属3Dプリンターや自動化技術の登場

2025年5月、大手ゼネコンの大林組が開発した炭素鋼対応の金属3Dプリンターは、まさにその象徴的なニュースです。金属をアーク溶接の要領でミルフィーユ状に積み重ねていく「WAAM技術」は、従来の鋳造や切削と比べて大幅なコストダウンと短納期を実現。
この3Dプリンターの登場で、カーテンウォール支持材や外構部材など、これまで量産しづらかった複雑な金属構造体も1点から安く・早く作れる時代になりました。

ITと現場力の融合が生み出すインパクト

こうしたDX化の波は、単なる“作業の効率化”にとどまりません。建設プロジェクト全体の設計から施工、保守管理まで一気通貫でデジタル化が進み、CADやBIM(Building Information Modeling ビルディング インフォメーション モデリングの略)(、IoTによる施工管理、さらにはAIを活用した進捗・品質管理など、IT現場での知識や経験がダイレクトに生きる現場が急増しています。

今、未経験やSES出身者が注目される背景

ここ数年、建設業界の求人で「未経験歓迎」や「IT系スキル重視」というワードが目立つようになりました。その背景には、業界全体で“新しいタイプの人材”が必要とされている現状があります。

異業種・ITスキルが活かせる新時代

従来の建設業界は“現場一筋”というイメージが根強く、経験や人脈の有無が大きな壁でした。しかし、DXの進展によりBIM設計やIoTデバイス管理、業務自動化ツール運用など「IT寄り」の業務領域が急拡大。SESで培ったITインフラ・開発・サポート経験は、今や建設プロジェクトでも高く評価されるようになっています。

実際に活躍する人の特徴

未経験からのチャレンジで重視されるのは「現場で学びながら伸びていける柔軟性」や「ITに抵抗感がないこと」。たとえば元SESエンジニアで現場監督見習いに転職した方は、「コミュニケーション力」「チームでの課題解決力」などソフトスキルが評価され、現場でも頼りにされているという声が目立ちます。
今後は、現場+ITの“ハイブリッド人材”こそ、業界の主役になっていくでしょう。

大林組の金属3Dプリンター開発がもたらす革新

今回大林組が発表した金属3Dプリンター(WAAM技術)の特徴は、従来の“金属粉末をレーザーで焼き固める”方式(SLM)と比べて、材料コストが安く大型構造物にも応用しやすいこと。また「炭素鋼」に対応できたことで、今後は建築用のさまざまな部材生産にも展開が期待されています。

WAAM技術の仕組みとメリット

WAAM(Wire Arc Additive Manufacturing)は、金属ワイヤをアーク溶接で溶かし、その金属ビードを積み重ねて構造体を作り上げる方式。大林組は、溶接時に発生する不純物「スラグ」を抑える独自ノウハウも開発。これにより品質・強度も確保できるようになりました。
試作の段階でも「鋳造と比べて最大8割のコスト削減」や「設計から生産までのリードタイム短縮」など、圧倒的なメリットを実現しています。

設計・生産プロセスの自動化・短縮化

設計面でも、大林組は「有機的な3D形状を自動で生成するアルゴリズム」を独自開発。これまで手作業で数カ月かかった設計・モデリングが、1週間ほどで完成するようになりました。
こうした“設計から製造まで一気通貫で自動化”という流れは、今後あらゆる建設プロジェクトに広がっていく見込みです。技術や知識がなくても、ITリテラシーと柔軟な学習姿勢があれば、最先端現場で活躍できる土壌が整いつつあります。

建設DX人材に求められるスキルとキャリア戦略

いま建設業界が求めるDX人材とは、「現場力」×「ITスキル」の両方を持つハイブリッド型。SESやIT現場で得たノウハウをベースに、現場での課題解決や新技術導入の推進役となる人材が各社で高評価されています。

現場+IT=最強の市場価値

たとえば、BIMやCIMといった設計データの3D活用、施工進捗のIoTセンサー連携、遠隔監視や自動化機器の導入支援…。こうした“新しい現場”で、ITスキルと建設の知見をミックスできる人材は、今後どんどん価値が高まるでしょう。
また、未経験者でも研修や現場OJTを通じて着実にスキルアップが可能です。

どんなキャリアパスが描ける?

建設DX分野では、プロジェクト管理や現場監督、設計補助、BIM/CIMエンジニア、さらには新技術導入プロジェクトのリーダーなど、多彩なキャリアパスが拓けます。特に今後は、単なる「作業者」ではなく、「技術で現場を変えるプレイヤー」への道が広がるのが大きな魅力です。

いま動くなら、建設業界DXの“成長ステージ”を狙え

建設DXは、まさに“今が伸び盛り”。しかもこれから数年は、最新技術の社会実装や現場導入が一気に進む「変革のタイミング」です。この時期に業界へ飛び込むことで、未経験・IT出身者にも圧倒的な成長とチャンスが待っています。

将来性と今後のチャンス

今後は金属3Dプリンターだけでなく、AIによる自動施工管理、クラウドによる現場可視化、ドローン測量、ロボティクス活用など、あらゆる現場でデジタル化・自動化が拡大していきます。
建設業界はこれまで「古いや3K」と敬遠されがちでしたが、今や「最先端に触れながら、人の暮らしや街づくりに貢献できる仕事」へと変貌を遂げているのです。

スタートに必要な第一歩

未経験・SES出身の方でも、ITリテラシーや現場コミュニケーション力を強みに、新しい技術に前向きに取り組む姿勢さえあれば十分戦えます。少しでも「このままじゃ終われない」「新しいフィールドに挑戦したい」と思った今が、まさに一歩を踏み出す好機です。

まとめ

建設業界は今、これまでの「体力勝負・閉鎖的」というイメージを覆し、先端技術の活用や働き方の多様化が一気に進んでいます。未経験・SES経験からでも、建設DX人材として活躍できるチャンスはこれからますます広がるでしょう。
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未来の一歩を、今ここから。

参考

■国土交通省「建設業のデジタル化・i-Construction関連情報」
https://www.mlit.go.jp/tec/i-construction/
■国土交通省「建設業の人材確保・育成に向けた取組」
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo14_hh_000001_00173.html
■大林組、金属材料を造形する3Dプリンター開発 - Impress Watch
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/2015647.html
■建設DXの終わらない話 from 日経アーキテクチュア
https://www.nikken-times.co.jp/new/20250529.0/1748465409.html
■一般社団法人 日本溶接協会「WAAM(金属積層造形)技術」
https://www-it.jwes.or.jp/we-com_bn.jsp
■大林組公式プレスリリース「炭素鋼構造体を造形する金属3Dプリンターを開発」
https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20250520_1.html
■日本経済新聞「大林組、金属3Dプリンター開発 建築材料コスト8割減も」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC176B40X10C25A6000000/