
2025.07.10
建設業界が担う新しい環境保全──竹チップ活用に見るサステナブルな現場改革
近年、地球温暖化や自然環境の悪化など、環境問題への意識が一層高まるなかで、「社会や地球の役に立つ仕事がしたい」と考える20代の若い世代が増えています。しかし、ブラック企業での過酷な勤務や、フリーターから抜け出せない現実、短期離職を繰り返してしまったキャリアに悩む人も多いのではないでしょうか。
そんな中、建設業界では今、「サステナブル」な取り組みを次々と実現しています。その一例が、長谷工コーポレーションによる竹チップを活用したリサイクル技術です。単なる建物づくりの現場から、社会全体の課題解決に貢献できるフィールドへと進化する建設業界。あなたもその変化の中で、自分自身のキャリアや人生を見つめ直してみませんか?
建設業界が果たす環境保全の重要性
環境問題が深刻化する中で、持続可能な社会の実現はあらゆる業界で求められています。中でも建設業界は、社会インフラや住まいをつくるだけでなく、環境に大きな影響を与える産業として重要な役割を担っています。たとえば建設工事では、膨大なエネルギーを消費し、廃棄物やCO2も多く発生します。そのため、従来型のやり方から脱却し、地球環境と共存する新しい価値観が必要不可欠になっています。
社会全体の関心が高まる中で、建設現場にも「環境配慮型の施工」や「資源の有効活用」といった新しい動きが次々と生まれています。実際、建設現場の最前線で働く人たちは、日々の業務を通じて環境問題の最前線に立っています。「自分の仕事が地球の未来に貢献している」という実感が得られる点も、今の建設業界ならではのやりがいと言えるでしょう。
環境問題と社会の関心
CO2排出量削減や再生可能エネルギーの活用は、多くの業界でキーワードとなっています。国連のSDGs(持続可能な開発目標)が広まり、「エコ」「サステナブル」という言葉は一般社会でも当たり前になりました。そんな中、建設業界が環境保全にどう貢献できるのか、注目する若者も増えています。
なぜ今、建設業界の取り組みが注目されているのか
建設業界は「変化しにくい業界」と思われがちですが、近年は大手企業を中心に、環境負荷を下げる技術や、リサイクル資材の活用、地域と連携した社会貢献など、さまざまな取り組みが進んでいます。今後は、建設業界の環境活動が社会の「新しい当たり前」になっていくでしょう。
「竹害」問題と建設現場の新たな役割
日本各地で問題視されているのが「竹害」です。放置された竹林は、もともと里山の風景や生物多様性の一部として役立ってきましたが、管理されなくなると急速に繁殖し、周辺の生態系や土地利用に大きな悪影響を及ぼします。竹林が広がりすぎると、山崩れなど災害リスクも高まるため、地域社会にとって深刻な課題となっています。
放置竹林が抱えるリスク
竹は成長が早く、放置すればたった数年で一面を覆い尽くしてしまいます。そうなると、他の植物の生育を妨げたり、土砂災害の発生リスクを高めたりと、地域全体の安全を脅かす存在になってしまいます。こうした竹害の対策は、自治体やボランティア団体だけでは手が足りず、民間企業の力が求められています。
地域と共に歩む建設現場
最近では、建設業界がこうした地域課題の解決に積極的に関わり始めています。地域の森林組合や自治体と連携し、竹林の整備を進めるだけでなく、伐採した竹を無駄なく有効活用することで、地域資源の循環や新たな雇用創出にもつながっています。
竹チップリサイクルの最前線──長谷工コーポレーションの事例
ここで紹介したいのが、長谷工コーポレーションが取り組む「竹チップリサイクル技術」です。この事例は、単なる竹の廃棄ではなく、「リサイクル資源」としての竹の新たな活用法を切り拓いたものです。
長谷工コーポレーションは、奈良県明日香村で竹林整備のために伐採された竹をチップ化し、その竹チップをマンション建設現場に持ち込む取り組みを始めました。従来、建設現場では掘削工事などで大量の汚泥が発生していましたが、竹チップを混ぜることでその汚泥を固化でき、他の資材として再利用しやすくなります。
竹チップによる汚泥処理技術の仕組み
この竹チップ固化処理技術は、福岡大学工学部の佐藤研一教授と共同で開発されたものです。竹チップを混ぜることで汚泥が安定化し、盛り土や埋め立てなど他の建設資材に生まれ変わります。これにより、従来は焼却や埋め立て処分されていた汚泥の量を減らし、資源の有効活用と廃棄コスト削減の両立を実現しています。
CO2削減などの具体的な成果
この技術の導入により、大阪市内の現場では竹チップ約5トンを使用し、二酸化炭素(CO2)の排出を約2.6トン削減することができました。また、竹チップの利用は、竹林放置による竹害問題の解決にも直結します。こうした先進的な事例は、他の建設会社や地域にも波及しつつあり、建設業界全体の「環境保全力」を高める原動力となっています。
サステナブル建設がもたらすやりがいと社会貢献
「建設現場で働く=キツい、古い」というイメージを持っていませんか? 実は今、建設業界で働くことは「社会に役立つ」「未来を守る」やりがいと直結しています。特に若い世代の間では、「自分の仕事が社会課題の解決につながるかどうか」を大切にする価値観が広まっています。
若手世代が感じる建設業の魅力
環境問題に取り組む現場で働くことで、単なる作業員ではなく「社会を変える一員」になれる実感を持てるようになります。例えば今回の竹チップリサイクルのようなプロジェクトでは、日々の仕事が「地域資源の循環」や「CO2削減」という形で目に見える成果になります。こうした経験は、キャリアの中で大きな自信や誇りとなります。
社会課題解決に関わる実感
仕事を通じて社会課題の解決に参加できる――これは、ブラック企業で消耗していたり、フリーターとして将来に不安を感じている方にとって大きなモチベーションになるはずです。「誰かのため」「社会のため」に役立つ経験は、自分自身の人生観や働き方も変えてくれるのです。
未来志向のキャリアを考える──エコ建設業界の可能性
建設業界は今、大きな転換期を迎えています。AIやICTの導入、現場のスマート化が進み、これまでとは違った多様な働き方やキャリア形成ができる時代です。特に「エコ建設」や「サステナブル建設」の分野では、若手世代の柔軟な発想や新しい価値観が求められています。
今後の建設現場で求められる力
環境保全や社会貢献のための取り組みを支えるには、「変化を楽しむ力」「チームで協力する力」「学び続ける力」が不可欠です。これまで短期離職やキャリアの行き詰まりで悩んできた人も、建設業界の新しいフィールドなら、過去の経験を活かしながら自分らしい成長を実現できるでしょう。
新しい働き方・生き方の提案
今後は、現場での作業だけでなく、プロジェクトの企画や地域連携、資源循環を担う仕事も増えていきます。自分自身のキャリアを柔軟に選び、環境と社会に貢献できる「新しい働き方」を、建設業界で叶えてみませんか?
まとめ
これまで、建設業界は「体力勝負」「古い体質」といったイメージで語られることが多くありました。しかし、実際には先進的なサステナブル技術や、社会・地域のために役立つプロジェクトが広がっています。長谷工コーポレーションの竹チップリサイクル事例は、その象徴とも言えるでしょう。環境保全の最前線で自分の力を発揮したい――そんな思いを持つあなたにこそ、建設業界は新しいチャンスを提供しています。
もし今の働き方やキャリアに迷いを感じているなら、エコ建設業界で新しい一歩を踏み出してみませんか?
エンジニア株式会社(https://e-ngineer.co.jp/)では、サステナブルな社会づくりに挑戦する仲間を募集しています。あなたの「これから」を一緒につくる場所が、きっとここにあります。
参考
■長谷工コーポレーション プレスリリース
https://www.haseko.co.jp/hc/information/press/20240926_1.html
■建築業界における環境問題とは|サステナブル建築事例7選も紹介(make note)
https://makenote.jp/articles/2843/
■日本建設業連合会 サステナブル建築事例集
https://www.nikkenren.com/kenchiku/sustainable_result.html
■竹チップの利用による脱炭素社会への貢献(竹産業振興協議会)
https://bamboo-big.com/_src/10316/rikatsuyo5_37.pdf
■Digital Construction News「長谷工コーポレーション、竹チップで建設汚泥のCO₂排出量を半減」
https://digital-construction.jp/news/1350
■日本経済新聞「長谷工、建設現場の汚泥リサイクルに竹チップを活用」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC0990M0Z00C25A7000000/