COLUMN コラム

2025.07.15

建設業界に広がるAI活用とサステナブル建設~省エネ・CO2削減・DXによる現場改革の最前線~

近年、建設業界では「AI(人工知能)」や「サステナビリティ(持続可能性)」といった言葉が急速に広がっています。かつては“きつい・危険・ブラック”のイメージが強かった建設現場ですが、今や最新テクノロジーによる省エネ化や環境対応が求められる、未来志向の業界へと変貌を遂げています。
特に20代の若手世代や、ブラックな職場で疲弊してきた方、フリーターから正社員へのキャリアチェンジを考えている方にとっても、建設業界は新たなチャンスの宝庫。AIの力を借りて、人手不足や環境問題を解決しながら、やりがいある仕事を実現する――そんな新しい働き方の最前線を本記事で解説します。

なぜ今、建設業界でAIとサステナビリティが注目されるのか

近年、建設業界を取り巻く環境は大きく変化しています。かつては「人手さえあれば成り立つ」と思われていた現場ですが、人口減少に伴う深刻な人手不足、建物の老朽化・大量の設備更新、そして世界的な気候変動への対応など、業界が直面する課題は複雑化しています。
加えて、「ESG(環境・社会・企業統治)」や「脱炭素経営」といったキーワードが企業評価の尺度となる中、建設現場でもサステナビリティを無視できない時代へ。国土交通省も2028年度までに、建設から解体までのCO2排出量算定を義務付ける制度導入を予定しており、環境負荷の少ない建設が企業の競争力そのものとなっています。
このような社会背景のもと、AIを活用した省人化・効率化・環境負荷低減のニーズが爆発的に高まっているのです。

AIが変えるビル管理と省エネ技術の進化―大成建設の最新事例

「AI」と聞くと、ロボットや自動運転をイメージする方も多いかもしれません。しかし建設業界で今最も注目されているのは、「設備管理×AI」による省エネ化の取り組みです。
たとえば大成建設は、超高層ビル向けにAIによる空調最適運用システムを開発。名古屋駅直結の「JRセントラルタワーズ」(築25年の高層複合ビル)に導入したこのシステムは、外気温や館内人数など様々なデータをもとに、AIがビル全体の空調設備を自動で制御。人の手では困難な“きめ細かい調整”を24時間365日実施し、エネルギー消費を15%以上削減する成果を出しています。
特に超高層ビルは、空調やエレベーターの稼働に膨大なエネルギーを消費します。AIによる最適化は、省エネだけでなく、担当者の業務負担軽減やコスト削減にも直結。従来の改修工事に比べて8割以上コストを抑えられるケースもあり、人手不足と環境対応という二重の課題をAIで同時に解決する好例です。

AIツールで実現する建設コスト削減とCO2排出量の可視化―木内建設の挑戦

現場の省エネ化だけでなく、設計・計画段階でのAI活用も加速しています。
木内建設は、建設費用やCO2排出量をAIで予測できるツールを開発し、「建設費用シミュレーション」と「CO2排出量可視化」を両立。これは、従来手作業で1週間以上かかった試算が、AIを使えば「2~3分で完了」するという効率化をもたらしました。
たとえば「BURM(バーム)」という建設費シミュレーションツールは、過去の物件データをAIが学習し、図面作成前の早い段階で概算コストを高精度で提示。一方「Susport(サスポート)建設」は、見積書データから使用資材の種類や量をAIが解析し、完成後のCO2排出量を自動で算出します。
このようなAIツールの導入により、コストを抑えつつ環境負荷も最小化した「脱炭素建築の提案」が可能に。サステナビリティと経済性の両立を、AIが強力に後押ししているのです。

DXと業界連携がもたらすサステナブルな建設現場の未来

AI活用の広がりとともに、「建設DX(デジタルトランスフォーメーション)」や業界連携の動きも加速しています。
たとえば地方の建設会社が立ち上げた「ON-SITE X(オンサイトエックス)」というDXコミュニティでは、115社以上が参加し、物件データを共有・分析。将来的には1000件規模にデータを拡大し、AIの予測精度をさらに高めていく計画です。
これにより、資材選定や設計の最適化が“地方”でも可能になり、地域ごとに最適なサステナブル建築の提案ができるようになります。
また、AIやデジタルツールの活用が進むことで、女性や未経験者、20代の若手にも多様な働き方や新しいキャリアパスが開かれつつあります。

今後の建設業界で求められる人材像と新しいキャリアパス

こうした業界の変化の中で、「現場=キツい、長時間労働、ブラック」というイメージは急速に薄れつつあります。今、建設業界が本当に必要としているのは、
・データやAI、ITに興味がある人
・新しい価値観を持って「環境配慮」や「効率化」にチャレンジできる人
・柔軟に働き方を変えていける人

20代でブラック企業に悩んでいたり、フリーターや短期離職を繰り返してきた方でも、AI時代の建設業界は“リスタート”に最適なフィールドです。
今こそ、未来の現場を一緒に作る側に――。「ただ働く」から「社会や環境に貢献する」へと、キャリアの選択肢は大きく広がっています。

まとめ

AIとサステナビリティの融合により、建設業界はかつてないスピードで進化しています。省エネ技術やCO2排出量の可視化、業界全体のDX推進により、社会貢献度の高い新しい現場が生まれ続けています。
これからの建設業界では、単なる「労働力」ではなく、データやテクノロジーを活用できる“未来型の人材”が求められています。もしあなたが、ブラックな働き方から抜け出し、より意義ある仕事にチャレンジしたいなら――
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あなたの新しいキャリアが、ここから始まります。

参考

■国土交通省 技術調査:建設分野のカーボンニュートラル
https://www.mlit.go.jp/tec/tec_tk_000149.html
■建設物価調査会「国土交通省が描く脱炭素の未来図」
https://www.kensetu-bukka.or.jp/article/15365/
■大成建設「AI設計部長®」の新たな設計ツール
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2024/240321_9948.html
■Sustineri「Susport 建設」公式サービス紹介
https://sustineri.co.jp/service/susport-construction/
■ON-SITE X公式サイト
https://on-sitex.com/
■日本経済新聞「AIで工事費と建物のCO2排出削量算出 環境対応の提案力強化」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC150QU0V10C25A6000000/
■日本経済新聞「大成建設 超高層ビル空調、AIで改修工事より8割安く」
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO89988860R10C25A7TEZ000/