COLUMN コラム

2025.07.23

2035年、建設業界が完全週休2日へ──ロボット活用と働き方改革が描く未来図

「休みが取れない」「長時間労働が当たり前」――建設業界にはそんなイメージが根強く残っています。しかし今、その常識が大きく変わろうとしています。日本建設業連合会(日建連)は2035年までに“全現場・土日祝休み”という大胆な目標を掲げ、週休2日の完全実現に向けて動き出しました。
さらに、危険な作業はロボットが担い、人はより安全でスマートな働き方へ。給与や待遇面でも大幅な改善が進められ、若手や未経験者にとって魅力ある業界へと変貌を遂げつつあります。この記事では、そんな建設業界の未来像と、そこに込められた可能性について掘り下げていきます。

建設業界が大きく変わる――2035年の週休2日完全実現構想とは

「建設現場に休みはない」と言われてきた時代に終止符が打たれようとしています。日本建設業連合会(日建連)は2025年7月22日、2035年度までにすべての工事現場を土日祝日休みにするという長期目標を表明しました。お盆や年末年始も含めた完全な週休2日制度を、業界全体で実現しようとしているのです。
この背景には、建設業界が直面する大きな課題――技能者不足の深刻化があります。高齢化と若年層の減少により、2035年には約129万人もの技能者が不足すると試算されています。これを受け、業界全体で“休みのある働き方”と“待遇の改善”を打ち出し、若者の確保に本腰を入れ始めました。
現時点では「4週8閉所」(月8日の閉所=休み)を実現している現場は約6割にとどまっていますが、日建連はこの割合をさらに引き上げ、国や自治体、民間発注者に対しても祝日工事の休止を求めていく方針です。

ロボットとITの力で、危険な作業から解放される未来

建設業界が目指す未来は「休みが増える」だけではありません。日建連は、ロボットやITの活用により危険な作業を人が行わなくて済む世界を描いています。
例えば、すでに一部の現場では重機の自動運転やドローンによる測量・監視が導入され、作業員の安全性が高まっています。2035年には、現場での高所作業や重量物の取り扱いといった「ケガや事故のリスクが高い仕事」はロボットに任せ、人はオフィスから複数の現場を遠隔操作する働き方が主流になるとも予測されています。
このようなテクノロジーの進化により、「現場作業=危険でつらい仕事」というイメージは過去のものとなりつつあります。ITスキルを持つ人材や未経験からの転職者でも、業界の第一線で活躍できる可能性が広がっているのです。

働きやすさは進化する――給与・休日・キャリアの三拍子

日建連の発表によると、2035年に向けたもう一つの柱が「待遇の改善」です。具体的には、技能者の平均賃金を年7%以上引き上げ、40代で平均年収1000万円超えを目指すという構想が掲げられています。
これは決して夢物語ではありません。すでに一部の現場では、高い専門性を持つ技術者や管理者にはそれに近い報酬が支払われており、業界の構造改革と連動して賃金の底上げが進められています。
また、女性や外国人の活躍推進も大きなポイントです。女性就業者を100万人に増やす計画や、外国人労働者の技能・語学習得を支援する環境整備も進行中。これにより、性別や国籍に関係なくキャリアを築ける業界へと進化しています。

若手・未経験者にとって“追い風”の時代が来る

これまで建設業界は「ブラック」「休めない」「危ない」というネガティブな印象が強く、若者や未経験者に敬遠されがちでした。しかし、完全週休2日制やロボット導入、賃金改善が進む今こそ、キャリアに行き詰まりを感じている人にとって最大のチャンスとも言えます。
「もう一度、新しい仕事を始めたい」「安定した業界で、しっかり稼ぎたい」「専門性を身につけて、将来に安心したい」――そんな思いを抱えているなら、建設業界はこれまで以上に現実的な選択肢です。
特に、ITスキルやコミュニケーション能力を生かした施工管理などの職種は、未経験者でもチャレンジしやすく、将来的に高収入も見込めます。

未来の建設業界に「希望」を感じたなら

2035年、建設業界は大きく変わります。完全週休2日と危険作業からの解放、賃金アップとダイバーシティ推進。これらの動きは、今のあなたにとっても未来を切り開くヒントになるはずです。
「もう限界」「このままでは将来が不安」――そんな想いを抱えるあなたへ。今のうちに動くことで、変わり始めた建設業界の波にいち早く乗ることができます。
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参考

■日本建設業連合会(日建連)公式 — 週休2日・適正工期関連
https://www.nikkenren.com/2days/action.html
https://digital.kentsu.co.jp/articles/artcl_rglr/01JT2R8GAVW20154Y7NQM3WQZ6
■ロボット・IT活用に関するガイドライン
https://www.setsubi-forum.jp/topics/2506/250620_2.html
■ダイヤモンド・オンライン/日建連・宮本会長インタビュー
https://diamond.jp/articles/-/355744
■国土交通省・日建連 意見交換成果報告(2025年3月)
https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_001193.html
■日建連刊行物「建設生産システムにおける生産性向上…
https://www.mlit.go.jp/common/001176440.pdf
■日建連「持続可能な建設業界であり続けるために」
https://www.nikkenren.com/2days/pdf/action/Leaflet_03.pdf
■日本経済新聞「建設業界団体 土日・祝日は工事休みに 技能者不足で長期目標」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC18BHT0Y5A710C2000000/