
2025.09.03
建設業界のカーボンニュートラル最前線|ゼネコンの脱炭素事例と最新技術動向
「将来が見えない」「このままでいいのだろうか」――
建設業界に興味はあるけれど、ブラックな働き方のイメージや、専門性の高さに不安を感じている20代の方も多いのではないでしょうか。
しかし今、建設業界は急速に変化しています。
特に注目されているのが、「カーボンニュートラル」への取り組みです。政府の2050年カーボンニュートラル宣言を受け、ゼネコンをはじめ多くの企業が環境対応を加速中。技術革新や制度改革も進み、「持続可能な建設」をキーワードに、働き方や職場環境にも変化の兆しが見え始めています。
本記事では、建設業界のカーボンニュートラルへの最新動向を解説しつつ、若手人材にとってのチャンスやキャリアの可能性を探ります。
なぜ今「カーボンニュートラル」が建設業界で注目されているのか
カーボンニュートラルとは、「温室効果ガスの排出量と吸収量を差し引きゼロにする」ことを意味します。日本政府は2020年に「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、各産業分野において脱炭素化の取り組みが加速しました。建設業界も例外ではありません。
建設業は、資材の製造や運搬、施工プロセスにおいて多くのCO2を排出する業種のひとつです。そのため、脱炭素化の推進は業界全体の責任とも言えます。
特に注目すべきは、国土交通省が主導するグリーンインフラ政策や、建設キャリアアップシステム(CCUS)との連動など、制度面からの支援が整備されてきている点です。これにより、企業規模にかかわらず、カーボンニュートラルに向けた動きが現実的なものとなっています。
ゼネコン各社が進める脱炭素化の具体的な取り組み
大手ゼネコン各社は、独自の脱炭素ロードマップを策定し、先進的な取り組みを始めています。
たとえば、清水建設は「ゼロエネルギービル(ZEB)」の普及を加速させ、施工時・使用時のCO2排出量を大幅に削減。大成建設では、AIやIoTを活用したスマートコンストラクションにより、重機の稼働効率や資材ロスを最適化しています。
また、建設現場では太陽光発電を利用した電力供給や、水素燃料を使った重機の導入なども試験的に実施されており、将来的には標準化が期待されています。
中小建設会社でも取り組める脱炭素アクションとは
大手だけでなく、中小の建設会社も「できる範囲から脱炭素」に着手しています。
最も手軽なアクションとしては、低炭素資材の導入が挙げられます。たとえば、セメントの使用量を削減する高炉スラグ系のコンクリートや、再生材を活用したアスファルトなどが注目されています。
また、建設機械の電動化やアイドリングストップの徹底、廃材の分別リサイクルといった、日常業務レベルでの見直しも有効です。
国や自治体の補助金制度を活用すれば、初期コストを抑えつつ、環境配慮型の現場運営を実現できます。
最新技術が支えるグリーンインフラと建設DXの可能性
脱炭素化の鍵を握るのが「建設DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。ICTやAI技術を活用することで、CO2排出の可視化や現場の効率化が進み、結果的に環境負荷を抑えることが可能になります。
たとえば、ドローン測量や3Dモデリングによって施工前の段取りを最適化し、無駄な資材使用や重機稼働を削減。遠隔操作や自動化技術を取り入れることで、人手不足と環境対応の両立を図る取り組みも拡大しています。
一方で、「グリーンインフラ」と呼ばれる自然との共生を図るインフラ整備も注目されています。雨水を活用した緑地整備や、再生エネルギーを活用した街づくりなど、従来の土木とは一線を画すプロジェクトも進行中です。
今後の建設業界で求められる人材と働き方の変化
カーボンニュートラルの流れの中で、建設業界においても人材の求められるスキルや価値観が変化しています。
従来の「現場経験や体力重視」だけでなく、環境配慮・デジタル対応・チームワークといったソフトスキルが重要視されつつあります。また、ゼネコンや中小企業でも「若手人材に新しい価値を期待する」傾向が強まっており、未経験でもポテンシャル採用が進んでいます。
特に、DXに強い人材や、環境系の資格取得に意欲的な人材は、これからの建設業界で大きな強みとなるでしょう。
まとめ
建設業界におけるカーボンニュートラルの動きは、単なる「環境対策」ではありません。
それは、働き方の変化や技術革新、そして若手の活躍の場の広がりへとつながっています。
「専門知識がない」「経験が浅い」そんな不安を抱える方でも、今だからこそチャレンジできるチャンスがあります。
これからの時代を見据えた一歩を踏み出すなら、環境対応に力を入れる建設業界は有力な選択肢です。
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参考
■国土交通省|建設分野のカーボンニュートラル技術調査
https://www.mlit.go.jp/tec/tec_tk_000149.html
■国土交通省|建築物のライフサイクルカーボン削減に向けた施策の動向
https://www.env.go.jp/content/000298482.pdf
■大成建設|TAISEI Green Target2050
https://www.taisei-sx.jp/environment/tgt/decarbonization/
■清水建設|脱炭素
https://www.shimz.co.jp/company/csr/environment/performance/eco/
■ウォールストリートジャーナル
https://jp.wsj.com/articles/concrete-is-one-of-the-worlds-worst-pollutants-making-it-green-is-a-booming-business-1cd3a480
■建築業界とカーボンニュートラル~現状と目標達成に向けた課題~
https://www.yanmar.com/jp/energy/knowledge/energy_issues/case_68.html