
2025.09.22
建設業界で進む女性活躍と働き方改革──男社会からの脱却と未来の働き方
かつて「男社会」と言われていた建設業界。しかし近年、そのイメージは大きく変わりつつあります。働き方改革の推進や、女性の管理職登用を目指す業界全体の取り組みにより、女性でも安心して働ける環境づくりが進んでいます。特に2024年に日本建設業連合会(日建連)が発表した「女性活躍推進のための5カ年計画」は、業界の大きな転換点となる動きです。
本記事では、建設業界における女性活躍の最新動向や、働き方の変化、未経験者にも広がるキャリアの可能性について掘り下げていきます。
建設業界に根強い「男社会」のイメージとその背景
建設業界は長年にわたり「男社会」の象徴とされてきました。その背景には、体力的にハードな現場作業、長時間労働、不規則な勤務体制などが挙げられます。また、女性トイレや更衣室などの設備が整っていない現場も多く、結果として女性が働きづらい環境が定着していました。
一方で、近年では建設業界に進出する女性の姿も徐々に増えており、「女性だから無理」という固定観念は薄れつつあります。ただし、依然として「女性の技術者や現場監督は珍しい」というイメージを持たれているのも事実。そうした中、環境整備や意識改革の動きが業界全体で加速しているのです。
働き方改革で変わる建設現場の常識
2019年の「働き方改革関連法」の施行以降、建設業界も例外ではなく労働環境の見直しが始まりました。長時間労働の是正や、休暇の取得促進、残業時間の上限設定などが導入され、特に現場監督や職人の過重労働を軽減する取り組みが進められています。
さらにICTや建設DXの導入により、現場管理や施工の効率化も進んでいます。たとえば、ドローンによる測量や、タブレットを用いた進捗管理システムなどは、現場における業務の負担を大きく軽減。こうしたテクノロジーの進展が、性別に関係なく活躍できる環境づくりを後押ししています。
女性の管理職登用と日建連の5カ年計画
2024年、日本建設業連合会(日建連)は、業界全体の女性活躍推進に向けた5カ年計画を打ち出しました。この計画の中で、会員企業における管理職女性比率を2029年度までに5%へ引き上げるという具体的な目標が掲げられています(2024年度時点では3.5%)。
この取り組みは、単なる「数値目標」にとどまりません。育児と仕事の両立を支援する制度や、女性技術者向けの研修、ロールモデルの発信など、総合的な環境整備が並行して行われています。
実際に女性現場監督や女性施工管理技士の採用に積極的な企業も増えており、働きやすさとキャリア形成の両立が可能な職場も登場しています。これらの取り組みは、将来の建設業界を担う多様な人材確保にもつながる重要な動きです。
女性技術者や未経験者にもチャンスがある理由
従来の建設業界では、実務経験の有無が重要視されていましたが、現在では「未経験でもポテンシャルを重視する」企業が増加傾向にあります。特に女性技術者の育成に力を入れる企業では、研修制度やOJTの充実、資格取得支援などを整備し、未経験者でも安心して業務に就ける環境づくりが進んでいます。
また、施工管理やCADオペレーターなどのポジションでは、論理的思考力や丁寧さ、調整力といったスキルが重視されるため、女性の特性が活かされる場面も多いです。
「異業種からの転職で活躍している女性」や「子育てと両立しながら働く現場監督」といったモデルケースも増えており、自分らしいキャリアを描くことができる選択肢として、建設業界の注目度は確実に高まっています。
これからの建設業界は「多様性」が強みになる
深刻な人手不足が続く建設業界では、いかに多様な人材を受け入れていくかが課題となっています。そこで重要視されているのが「ダイバーシティ経営」です。性別、年齢、国籍に関係なく、多様な人材が活躍できる環境をつくることが、企業の競争力を高める鍵になります。
女性が働きやすい職場を整えることは、女性に限らずすべての働く人にとってメリットがあります。快適な休憩室、休暇取得のしやすさ、柔軟な勤務時間制度などは、働く人全員のQOL(生活の質)向上につながる要素です。
今後、建設業界が「力仕事」や「男性中心」といった従来のイメージから脱却し、性別を問わず活躍できるフィールドになることが期待されています。
まとめ
建設業界は今、変革の真っただ中にあります。女性の管理職登用や柔軟な働き方の導入など、「男性中心」の時代から脱却し、多様な人材が活躍できるフィールドへと進化しています。
「未経験だけど挑戦したい」「自分らしく働ける職場を探したい」と考える方にとって、今の建設業界は新たなチャンスの場です。
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参考
■国土交通省「建設産業における女性活躍・定着促進に向けた実行計画」
https://www.kensetsu-kikin.jp/woman/about/
■日本建設業連合会「けんせつ小町活躍推進計画(2025~2029年度)」
https://nikkenren.com/komachi/overview.html
■国土交通省「女性の定着促進に向けた建設産業行動計画」
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk1_000088.html
■建設産業女性定着支援WEB(実態等調査結果PDF)
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001843500.pdf
■日本経済新聞|建設業界、女性管理職5%へhttps://www.nikkei.com/article/DGKKZO91433900Z10C25A9TB0000/?type=group#AgAUAgAAMDgx