未経験から施工管理でキャリアを築く、
現場の実態と未来を語る
技術者T.S

未経験から現場のプロへ
まず自己紹介をお願いします。どのような経緯で施工管理の道に進まれたのでしょうか?
昨年10月にエンジニア株式会社に入社し、現在は施工管理アシスタントとしてオフィスビルの内装工事現場に携わっています。前職ではまったく別業界の営業職でしたが、「手に職をつけて長く活躍できる」という点に強く惹かれ、転職を決意しました。
実際に働き始めて、最初はどんなことに驚きやギャップを感じましたか?
入社後、研修で基礎知識を学んだものの、実際の現場に出ると専門用語や作業の手順が頭に入っておらず、自分がどこから指示を出せばよいのか分からず悩みました。特に、安全管理の場面でどの作業が危険で、どう注意を促せばいいのか判断に迷ったのが大きな壁でした。
苦労したり壁にぶつかったとき、どのように乗り越えましたか?
乗り越え方としては、まずわからない用語や手順はすぐにメモし、終了後に先輩や職人さんに質問して理解を深めました。さらに、同僚と現場ごとのチェックリストを共有し合うことで、自分だけでなくチーム全体の知識レベルを底上げできたと感じています。経験を積むほどに現場の流れが見えるようになり、自信を持って動けるようになりました。
3Kのイメージが変わった瞬間
建設現場は「きつい・きたない・危険」というイメージが先行しがちですが、実際に働いてみて印象は変わりましたか?
正直に言うと、体力を要する場面や高所作業など「きつい・危険」は依然としてあります。ただ、現場全体での衛生管理や安全教育が非常に徹底されており、以前より「きたない」印象は薄れています。毎朝の清掃や資材置き場の整理整頓が日課になっているため、作業スペースは常にクリアで、むしろ効率的に動ける環境です。
3Kが大きく変化していると思ったのは、どんな場面でしたか?
「3Kが変化している」と感じたのは、特に以下の場面です。
・安全ミーティング:朝礼でリスク箇所を全員で共有し、対策を練ることでストレスなく作業できる。
・整理整頓の“見える化”:清掃ポイントを掲示板やアプリで管理し、担当をローテーション化。現場の美観と効率が向上。
・疲労軽減策:重い資材運搬には機械化を進め、休憩時間や作業順序を工夫して身体への負担を分散。
これらにより、以前よりも安心して集中できる現場に変わりつつあると実感しています。
DX時代における施工管理の可能性
BIMやドローン、AIなど、新しい技術を取り入れた現場を経験したことがありますか? 具体的にどんな変化がありましたか?
現時点では私自身がBIMやドローン、AIをフル活用したプロジェクトに常駐した経験はありません。しかし、研修でBIMモデルを使った施工計画を見学した際、その正確さとわかりやすさに驚きました。従来の図面だけでは把握しづらい納まりや干渉箇所を3Dで事前に検出できるため、現場の手戻りや追加コストを大幅に削減できると感じています。
またドローンによる進捗撮影では、足場を組まずに屋上や高所の状況をリアルタイムで確認できるため、安全性が向上。AIによる進捗予測ツールは、天候や作業実績データを基に工期遅延リスクを早期に察知し、手を打てる点が非常に有効だと思います。これらが浸透すれば、施工管理はより戦略的で高付加価値な仕事にシフトしていくはずです。
仕事を通じて得たスキルとキャリア観
入社してからこれまでに身についたスキルや成長を実感する場面はどんなときですか?
当初は書類作成や現場写真の整理に手間取りましたが、数ヶ月で図面の読み取りや安全チェックリストの作成をスムーズにこなせるようになったときに、自分自身の成長を実感しました。特に、複数の職人さんや協力会社と連携を取りながら工期をコントロールできたときは大きな達成感がありました。
今後どのようなキャリアパスを描いていますか? 施工管理技士としての将来像をお聞かせください。
現在、2級建築施工管理技士の資格取得に向けて勉強中です。資格勉強を通じて知識の体系化が進み、現場での判断に根拠が持てるようになっているのを感じます。将来的には1級建築施工管理技士を取得し、大規模プロジェクトの現場監督として、多様なチームをリードできる立場を目指しています。そのために、今後は積極的に幅広い工種を経験し、複数現場の同時管理や工程最適化のノウハウを身につけていきたいです。
求職者へのメッセージ
未経験から挑戦する方やキャリアアップを目指す方に、「知っておいたほうがいいこと」や「この仕事の魅力」を伝えるとしたら?
施工管理は「人とモノと時間」を調整しながらひとつのプロジェクトを完成させる、非常にダイナミックな仕事です。以下のポイントを意識すると良いと思います。
・学び続ける姿勢:新しい資材や工法、安全規則が次々と進化します。常にアンテナを高く保ち、学ぶ意欲が成功の鍵です。
・コミュニケーション力:多様な職種の人たちと協力するため、相手の立場や状況を理解した上で話すことが大切です。
・問題解決力:予期せぬトラブルが起こるのは日常茶飯事。冷静に原因を把握し、最適な対策を講じる経験を積むことで自信がつきます。
この仕事の魅力は、完成した建物を通じて社会に貢献できるところ。オーナーや利用者から「あなたのおかげで助かった」と直接感謝される瞬間は、他では味わえない喜びです。未経験の方も、焦らず一歩一歩経験を積めば、必ず施工管理のプロフェッショナルとして羽ばたけます。ぜひチャレンジしてください!